**イベントレポート**
11/29(金)project HOME発表イベントを開催しました!

11/29(金)に漂流する妊婦のための居場所づくり「project HOME」の発表イベントを、この活動の協働団体である認定NPO法人PIECESと一緒に開催しました!

当日は約120名のみなさまにお越しいただきました。ピッコラーレの新たな取り組み「project HOME」の概要発表を、このように、たくさんのみなさまにお伝えでき、とても幸せな一歩を踏み出すことができました。ありがとうございます。また、ご参加いただいた多くのみなさまにご支援いただき、総額20万円を超える寄付金が集まりました。いただいた寄付金は、HOMEを居心地の良い場所にするために活用させていただきます。みなさまからの温かいご支援に、改めて御礼を申し上げます。

さて、様々な角度から「project HOME」をご理解いただけるよう準備したイベントプログラムですが、これから2回にわたって当日の様子をお届けしたいと思います。


まずはじめに、NPO法人ピッコラーレ代表の中島より、団体の成り立ち、この活動を始めたきっかけや具体的なHOMEのイメージについて、お話をさせていただきました。


活動のはじまり「にんしんSOS東京」

私たちが相談窓口の活動を始めた大きな理由、それは子どもの虐待死事例で最も多いのは、生まれたその日に亡くなってしまう赤ちゃん、という事実を知ったからです。そのほとんどの事例において、誰にも相談できず、母子手帳未交付、妊婦健診未受診のまま、自宅など医療機関以外の場所で一人きりで出産にいたり、赤ちゃんを亡くしてしまっている。そんな悲しいお産をなくしたい、それが妊娠葛藤相談窓口「にんしんSOS東京」の活動の始まりでした。

2015年12月に窓口を開設してから4年。困っているというSOSを発信してもらえるように、発信してくれたSOSをしっかり受けとめられるように、妊娠にまつわるすべての「困った」「どうしよう」に寄り添うというミッションを掲げて窓口を運営してきました。これまでにご相談下さった方は、東京の窓口だけで約3,600人、延べ相談回数は14,000回を超えました。時には、お電話やメールだけの支援ではなかなか先に進むことが難しい、危機的な妊娠に直面されているご相談者に出会うこともあります。そのような時には、ピッコラーレの相談員が直接ご相談者のもとに伺って面談し、行政の窓口や病院受診などご一緒する「同行支援」も行っています。この同行支援は延べ200回を超えました。

妊娠するずっと前から、いくつもの困難を抱えて生きてきた彼女たち

これまでの活動で私たちが思い知らされたこと、それは、危機的な妊娠をしているご相談者の多くは、妊娠をするそのずっと前から、DVや虐待・ネグレクト、貧困など、様々な困難を抱えながら、ひとり生き延びてきている方たちだということです。

小さい頃から虐待を受けていて、高校生になってから家出。子どもって逃げられる年齢になったら、ちゃんとそこから逃げる力のある子がいます。でも、その子にとって安全で快適な居場所をひとりの力で見つけることはとてもむずかしい。また、公的な支援制度が彼女たちに合う場所を提供できているとは限らない。制度と制度のはざまに落とされ、福祉の枠から外れて、公園やネットカフェ、ネットで知り合った男性宅など、安全とは決して言えない場所を転々としているうちに妊娠してしまう。

生き延びるため、今日の寝る場所を必死で探した先に見つかる手は、彼女たちを搾取する大人の手という現実。それは言い換えれば、彼女たちのSOSに気づこうとしない、安全な居場所を用意できていない、そんな社会の中で、彼女たちは危機的な妊娠をしてしまっているとも言えるのではないでしょうか。

この現実を変えるために、社会の一員である私たちにできることは何なのか?その問いへの答えの一つ、今すぐに必要で、この活動を続けてきた私たちだからこそできるかもしれないこと、それが「project HOME」です。

居場所のない妊婦のための「潮だまり」をつくるプロジェクト
「project HOME」

私たちの窓口にご相談くださった方にとって、必要な社会資源を一緒に探し、その先の適切な支援に繋げることは私たちの大事な役割の一つです。しかし、繋げばすぐに解決するわけではなく、繋いだ先からいなくなってしまったり、繋ぎ先がうまく見つからない。そんなことが以前にありました。

そのような時、私たちのHOMEでは「心配しなくていいからね、ここHOMEでゆっくり休息しながら、これからのことを一緒に考えましょう」そういっていつでも手を広げて誰かが待っています。

私たちのHOMEは、今日の居場所に困った妊婦さんを、妊娠何週からでも迎え入れます。訪れた人が「ここにいていいのだ」「生きていていいのだ」と思える場所、そして、寄せてくる波や時間によって、さまざまに姿を変える潮だまりのように、HOMEに訪れた彼女たちひとりひとりの思いに応じて必要な支援をつくりだし繋げていく、そんな小さな「潮だまり」のような居場所を地域につくりたいと考えています。

具体的な話になりますが、私たちの最初のHOMEは豊島区で始めることを決めました。豊島区内で長く地域の子どもたちを支えているNPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワークに繋いでいただき、豊島区の地域貢献型空き家利活用事業として、一戸建ての家をお借りできることになりました。大家さんのご好意と、豊島区のサポートを受けながら、2020年4月(予定)からの運営開始を目指して、現在リフォームを進めています。

                       認定NPO法人PIECESとの協働プロジェクト 〜社会と安全につながれる場づくりを目指して〜


「project HOME」は、これまでずっとお世話になってきた連携先のみなさまとの協働の延長線上にあります。中でも、子ども・若者の「心の孤立」を防ぐために市民育成に取り組んでいる認定NPO法人PIECES*とはもう4年を超えるお付き合いで、様々な形で相談者の方の信頼できる存在として繋がりを作っていただきました。

特にPIECESのプロジェクト「もえかん家」では、ピッコラーレへの相談で繋がった10代のお母さんのサポートをお願いしたこともあります。話し相手になってもらったり、勉強をサポートしてもらったり。そんな緩やかな協働のなかで、いつしか具体的な場を持ちたい、そんな話をするようになりました。

そして、今日来てくれている望月優大さんにこの構想を話したところ「この居場所にたどり着いたひとりひとりにとっての、自分のHOMEをいつか見つけられるようになる、そんなプロジェクトだね」と言ってもらいました。それから、このプロジェクトは「project HOME」と呼ぶようになりました。

HOMEは、シェルターのような閉ざされた居場所ではなく、地域に開かれ、色々な人が出入したり、利用者の方がたくさんの信頼できる人と出会うことができるオープンな居場所になることを目指しています。

多様な価値観を持つ、多くの人が交わる場になった時に、どうしたらその場を心地よいものにできるのか考えました。HOMEに訪れる全ての方にとって安心が担保される、様々な対話やネットワークがうまれ、利用者の方が社会と安全につながっていくことができる、そんな場にするために、PIECESさんと組織の壁を超えて、お互いの強みを活かしながら一緒にこのプロジェクトを進めていきたいと考えています。

漂流する妊婦のための居場所づくり「project HOME」は、2020年4月からの本格的な運営開始に向けてさらに準備を続けていきます。2020年春には、クラウドファンディングを予定しており、居場所づくりのための資金や初年度の運営資金へのご支援を募る活動もスタートします。ぜひこれからもこの取り組みに関心をお寄せいただき、私たちピッコラーレと一緒にHOMEをつくる仲間になっていただけますと嬉しいです。

*認定NPO法人PIECES (https://www.pieces.tokyo/)
子ども・若者の「心の孤立」を防ぐために、領域やセクターの壁を越えたコラボレーションを通じで、子どもとその環境を織りなす人との「間(ま)」を豊かにするための市民支援者育成事業等に取り組まれています。


プログラム後半では、project HOMEの世界観をより身近に感じていただけるよう各展示ブースを用意しました。それぞれのブース(まちの保健室 / 韓国視察レポート / ダイニング)の様子は、イベントレポート後編(https://piccolare.org/cat-news/20200209/)でご確認いただけます☆