**イベントレポート**
11/29(金)project HOME発表イベント後編
〜HOMEを体感する展示ブース!〜

2020年4月に予定している本格的な運営開始に向けて、漂流する妊婦のための居場所づくり「project HOME」発表イベントを開催しました。

プログラム前半では、NPO法人ピッコラーレ代表の中島より、団体の成り立ちやこの活動を始めたきっかけ、具体的なHOMEのイメージについてお話しました。(プログラム前半の様子はこちらから:https://piccolare.org/cat-news/20191227/

プログラム後半では、project HOMEの世界観をより身近に感じていただけるよう、各展示ブースを用意しました。このイベントレポート後編では、それぞれのブース(まちの保健室 / 韓国視察レポート / ダイニング)の当日の活気に溢れる様子を様子をお伝えしたいと思います☆


ピッコラーレスタイル☆まちの保健室

project HOMEでは、10〜20代の方たちが気軽にこころやからだの悩み・心配ごとなどを相談できる「保健室」を開設します。自分の身体のこと、生理のこと、避妊や妊娠、セックスのこと、親との関係や生活のことなど、保健室はさまざまな不安や葛藤に寄り添っていきます。

この日のイベントでは、ピッコラーレスタイルの保健室を体感いただけるように、保健室チームがさまざまな企画を準備しました!

●性教育関連書籍の展示

幼児から大人まで読める性教育関連の書籍が、実は色々出版されていることをご存知でしょうか。イベントでは、ピッコラーレの相談員が性教育講座で使用している絵本や、海外で見つけた子ども向け(はじめて質問があった時から思春期まで)書籍も展示しました!科学に基づいて、対象年齢のお子さんにもわかるように、とても丁寧に説明がされていて、参加者の皆さんも興味深くご覧になっていました。

●避妊方法も色々

日本で一番よく耳にする避妊方法といえばコンドーム。でもコンドームに、素材、薄さ、サイズなど、色々な種類があるということは、意外と知られていません。自分によりあったものを見つけて、正しく装着することが避妊の上でとても大事です。

また、コンドーム以外の避妊方法として、低用量ピルやIUD/IUS(子宮内避妊具)なども展示しました。これらは女性が主体的に選べる避妊方法として有効なのですが、今は女性が主体的に避妊をするということに対して抵抗感があるのか、よくわからないから不安ということで、コンドームだけの避妊に頼りがちです。

●実際の相談から(ロールプレイ)

保健室の展示ブースでは、日々どのような相談が窓口に寄せられているのか、ロールプレイ形式でピッコラーレの相談員が、相談者と相談員役になってご紹介する時間も持ちました。

ロールプレイをご覧になった参加者の方からは「10代、20代の若い人たちが、どんな風に焦りや不安を抱えて相談してくるのか、またその相談をどう受け止め、対話していくのか、その一端が垣間見れてとても興味深かった」という感想もありました。その他にも、スウェーデンのユースクリニックについて紹介した展示や、「ピコの保健室◯✕クイズ」と題した性教育のためのクイズも好評でした!※まだクイズに挑戦していない方は、ぜひトライしてみてくださいね☆

★「ピコの保健室◯✕クイズ」https://piccolare.work/quiz/index.html

韓国視察レポート
〜未婚母子施設エランウォンから学んだこと〜

昨夏に、埼玉県立大学の姜恩和先生にご協力いただき、project HOMEのメンバーが韓国にある未婚母子施設エランウォン(愛欄院)を視察訪問しました。ブースでは、この視察で得た学びをどのようにproject HOMEに活かしていきたいか、プレゼンテーションや展示を通してお伝えしました。

●未婚母子支援のパイオニア エランウォン(愛蘭院)について

まずはじめに、今回の視察をコーディネートしてくださった姜先生より、エランウォンが活動を開始した経緯、支援の特徴、エランウォンの実践が成し遂げたことなどについてご紹介いただきました。

未婚母子施設の仕組みを作った代表的な民間施設エランウォンは、未婚の母が子どもを養子縁組に託す間に短期間滞在する施設としてはじまり、それがだんだんと、自分で育てたいという方の自立を支える施設へ展開していったというお話がありました。

 エランウォンでは、3ステップ(妊娠期の支援、出産後の共同生活支援、地域における支援)で危機的な妊娠から自立までのワンストップサービス支援を提供しているそうです。

 妊娠期の支援については、最大で施設に1年6ヶ月滞在ができ、また利用者は医療給付対象者のため検診や分娩などの医療費用は無償、さらに教育などの自立支援もこの期間から受けられるとのことでした。

 青少年未婚母(10代〜24歳まで)については、5年〜7年といった長期にわたる支援が必要なことも多く、まずは安全な出産、自立を含めた家族の支援、そして地域社会に定着するまでを、同じソーシャルワーカーが伴走支援してくれる仕組みだそうです。

 ソウルの中心街に位置するエランウォンの本部は、女性家族省も力を入れて2年前に建替えを実施したとのことで、素敵な施設内の様子(食堂、ミーティングルーム、母子の部屋、託児部屋、相談室、屋上の休憩スペースなど)も写真でご紹介くださいました。

 最後に、エランウォンの実践が成し遂げてきたこととして、寄付を資源に「まずは実践、成果をだして、それを政策に反映することを繰り返してきた」というお話がありました。民間機関が当事者の声を支援の実践に反映させて、成功事例を作り、それを社会に訴えて制度化へつなげる。project HOMEもそのような取り組みの一歩になれたら、というメッセージとともにプレゼンテーションを締めくくっていただきました。

●相談者との出会い、一緒に過ごした時間、そしてproject HOMEへ

姜先生のプレゼンテーションに続いて、認定NPO法人PIECESでproject HOMEのメンバーでもある塚原と坂井より、これまでのピッコラーレ × PIECESの活動の歩みと、project HOMEの居場所づくりについてお話しました。

ピッコラーレの相談窓口を通して出会った相談者の方の中には、PIECESをはじめ連携先に協力をいただきながら、妊娠のその後の支援を行った方たちもいます。

彼女たちひとりひとりの「やりたいこと、必要なこと」を中心において、それぞれの希望が叶えられる場にすることを大事にしながら、高卒認定試験のサポートや就労窓口の付添い、ご飯を一緒に作ったり、誕生日会を開いたり。色々なことを一緒に行ってきました。

これまでも私たちは相談者の方にとって、安心、安全な空間作りを努めてきましたが、やはり会う場所が不特定であったこともあり、いつでも戻ってきてねといえる場所がなかったこと、また、宿泊できる場所をピッコラーレが持っていなかったので、夜過ごす場所がない子についてはその都度、宿泊場所のある連携先を探して、居場所をなんとか確保してきました。

このような経験を踏まえて、project HOMEで実現したいことが2点あります。

1つ目は、宿泊機能も備えた、いつでも戻ることができる居場所をつくること。

2つ目は、HOMEに訪れる彼女たちひとりひとりの必要にあわせた支援を「作り出して」いくこと。さまざまな団体や地域の皆さんと連携をしながら、エランウォンで実現しているようなワンストップの支援が実現できればと考えています。

ダイニング
〜project HOMEのごはん〜

HOMEのダイニングでは、訪れた人が自分の好きな食べ物をつくってもらったり、もしよかったら一緒につくったり、わいわいあれこれお話しながら準備したり、みんなでごはんを食べたりすることをイメージしています。

このHOMEのごはんを少しでも参加者の皆さんに体感してもらえるように、過去に相談者の方の「これが食べたいな」のリクエストで作ったメニューをイベントでご用意しました!

今回お出ししたものは、唐揚げ、肉団子、ポテトサラダ、フランクフルト、焼きそば、お味噌汁、白米・寝かせ玄米のミニおにぎりなどなど、量も種類ももりだくさん。デザートには杏仁豆腐も。いつも作りすぎたかな〜と思っても、みんなで食べると箸も進んで、結局いつも全部食べ切ります♪

参加者の皆さんから、「色とりどりのごはん、とっても美味しかったです!」「HOMEのほんわかした温かさが、ダイニングを通して伝わってきました〜!」といったお声をいくつもいただきました☆

クロージング

展示ブースやダイニングの時間のあと、メインステージでは、ピッコラーレの窓口につながった方たちがつぶやいた言葉を映像と音楽にのせて、みなさんにご覧いただきました。

映像と音楽は、音楽家の鹿嶋静さんがこの日のために制作してくださいました。(※内容は会場限りの公開です。)ひとつひとつの言葉に、スタッフも含めその場にいる皆さんそれぞれが何か心に感じる時間だったように思います。

そしてイベントの最後には、小グループにわかれて気持ちを共有する時間「シェアタイム」を持ちました。

「もっとシェアタイムの時間があったらよかった!」とアンケートに何人もの方が記載してくださるほど真剣に、でも楽しそうに気持ちを共有しあってくださいました。HOMEが目指している温かさを感じる瞬間でもありました。


イベントはたくさんの方々からの温かい拍手に包まれて無事に終わることができました。
現在、ピッコラーレはこの4月に予定している本格的なHOMEの運営開始に向けて急ピッチで準備を進めています。

今後の様子は、Facebookやホームページ、メールマガジン「with PICCO*ピッコラーレ便り*」などでもご紹介していく予定ですので、ぜひこれからも関心をお寄せいただけましたら幸いです。