「2025年度 活動報告書」が完成いたしました!

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「代表あいさつ」より

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ピッコラーレを支えてくださる皆さまへ

日頃より、ピッコラーレの活動にあたたかいご支援とご理解を賜り、心より感謝申し上げます。
2025年度、妊娠葛藤相談窓口「にんしんSOS東京」は、開設10周年を迎えました。開設当初から1日も休むことなく窓口を開き続けることができたのは、共に取り組む仲間の存在と応援し支えてくださる皆様のおかげです。本当にありがとうございます。

そのような節目の年、「ぴさら」のすぐ近くにあるガールズバーのトイレで、そこで働いていた女性が、妊娠を誰にも打ち明けられないまま出産し、生まれたばかりの赤ちゃんが亡くなるという事件がありました。女性はその後、赤ちゃんを殺害した罪に問われ、実刑判決を受けています。
「相談すれば良かった。」
これは、裁判で女性が語った言葉です。
現場は「ぴさら」から歩いて5分ほどの場所でした。

そんな近くにいたにもかかわらず、彼女と出会うことも、お腹が大きくなっていく彼女に気づくことも、数百メートル先に相談できる人がいることを伝えることもできませんでした。
どうしたら出会うことができたのか、何かできることはなかったのか。

妊娠葛藤相談窓口はこの10年で全国に広がり、70ヶ所以上にのぼります。インターネットで検索すれば、いくつもの相談先が検索結果に出てきますし、電話やSNSに加え面談や同行支援を行う窓口も増えています。国も「思いがけない妊娠の相談サイト」を立ち上げ、「あなたを支える仕組みがあります。どうか繋がって」と、周知を始めています。

それでも。
どれだけ窓口が増えても、本人にその存在が認知され、頼ってもいいと思ってもらえなければ何もできません。
どうしたら、妊娠してひとりぼっちでいる人と繋がることができるのでしょうか。

たとえば、「思いがけない妊娠は誰にでも起こりうること」であり、困ったときには相談できる場所があることを、困ってからではなく、その前から誰もが知っていることが大切です。
性や妊娠について正しく学ぶ機会があることももちろん必要です。
ですが、どんなに学んで知識があったとしても、避妊や緊急避妊薬、そして性に関する医療に誰もがアクセスできる仕組みがなければ、思いがけない妊娠を減らすことはできません。

孤立したまま妊娠を一人で抱えている状況というのは、お腹の赤ちゃんと妊娠している方の命が危険にさらされている状況です。思いがけず妊娠をしたとき、その妊娠の先にあるのは出産だけではなく、流産や死産、そして中絶もあります。どんな場合にも保健や医療、そしてお金も必要です。

「自分を大切に」と伝えながら、そのために必要な知識や制度、医療へのアクセスを社会が用意していないのだとしたら、その現状を変えなければならないと、私たちは本当に思えているでしょうか。
性に関する医療にアクセスできなかった結果、犯罪者になってしまう女性を生み出す現状を自己責任だからと無視するのだとしたら、それはなんて不平等なのでしょう。

母体保護法の配偶者同意など、性による差別が残る法律をそのままにして「自分の体のことは自分で決めていい」と言っても、それは実現しません。
SRHR(性と生殖に関する健康と権利)が当たり前に尊重される仕組みと、妊娠した人を「なぜ妊娠したのか」と責めるのではなく、これからをともに考え、支えるまなざし。その両方があって初めて、孤立した妊娠を防ぐことにつながるのだと、私たちは考えています。

「相談すれば良かった。」
この言葉を、もう誰にも言わせたくありません。
まだ出会えていない、一人のために。
ピッコラーレは、その人が「相談してみよう」と思える社会を、そして妊娠をきっかけに誰もが孤立せず、自由に幸せに生きていける社会を、皆さまと一緒につくっていきたいと思います。
いつも共に在ってくださるみなさまに心からの感謝を込めて。

認定NPO法人ピッコラーレ
代表理事 中島かおり