「2024年度 活動報告書」が完成いたしました!

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いつもピッコラーレの活動に心を寄せてくださり、本当にありがとうございます。
皆さまのお力添えのおかげで、2024年度も365日休むことなく窓口を開き続けることができました。
心から感謝申し上げます。

にんしんSOS東京は2025年12月に10周年を迎えます。

振り返ると、2015年に「にんしんSOS東京」を立ち上げた頃、妊娠葛藤相談窓口は全国でわずか4ヶ所ほど。
まだチャットもなく、ほとんどが電話相談のみの窓口でした。
そんな中、私たちは0日・0か月児の虐待死に繋がる妊娠をなくすには、具体的な支援に繋げることが大切だと考え、今日までずっと面談や同行を続けてきました。

窓口立ち上げから10年―
今や妊娠に関する相談窓口は全国に70ヶ所以上設立されています。
また妊娠に限らず今や様々な相談窓口が社会実装され、ChatGPTなどのAIに相談する若者たちも出てきています。

それでも、面談や同行は人でなければできません。
何度もやりとりをしていたとしても、チャットや電話では想像もしていなかった状況の深刻さが、
実際にお会いして初めてわかることもあります。

「0日・0か月児の虐待死にいたる妊娠をなくす」ことを目的として始めた「にんしんSOS東京」で見えてきたのは、出会った方のほとんどが妊娠するもっと手前から様々な困難を抱えていて、そしてその困難のほとんどは、私たちの社会の仕組みによって生じているという社会課題です。
相談だけで絡まり合った複数の困難を一気に解きほぐすことはかなり難しい中、居場所での継続的な暮らしの支援のニーズも生まれてきました。

ネットカフェでその日暮らしをしている妊婦との出会いをきっかけに、「ないなら作ろう」と始めた、妊娠期の暮らしを支える「ぴさら」は令和6年度の改正児童福祉法により「妊産婦等生活援助事業」として法定化されました。
しかしまだまだ利用問い合わせの数に対し、居場所の数は圧倒的に足りていません。

「ぴさら」はその境界線を曖昧にし、地域やコミュニティの他者を受け入れたり、その外側へ出かけていくことができます。
そんなふうにだんだんと互いに顔が見える関係になり、声をかけあうようになり、その人にとっての「HOME」と思える居場所が生まれます。

私たちが大切にしたいのは、「HOME」であること。
そして「ぴさら」卒業後の暮らしの中でも、「HOME」を見つけられること。

数ヶ月ぶりに会った若者が、「私、無敵じゃなくなったよ。」と教えてくれました。
今のアルバイト先にいる仲間たちのことが大好きで、そのアルバイトをずっと続けたいと願っている自分がいる、だから、
「いつでも死んでいい、消えたいと思っていた自分ではなくなった。」と。

自分にとって大切な他者の存在があることもその場所が「HOME」になることを支えてくれます。
「にんしん SOS 東京」や「ぴさら」は「妊娠をきっかけに誰もが孤立することがない」というビジョンの実現に寄与しました。

さぁ、ここからはいよいよ「自由に幸せに生きていくことができる社会」の実現に挑戦していきます。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。

心からの感謝を込めて。

認定NPO法人ピッコラーレ
代表理事 中島かおり