「2023年度 活動報告書」が完成いたしました!
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「生きていていいのだ」そう思える社会を、一緒に
代表理事 中島かおり
ピッコラーレに繋がる若者やこどもたち、そしてピッコラーレスタッフへの温かな応援をいつもありがとうございます。
おかげさまでピッコラーレは2023年11月、設立5周年を迎えることができました。
また2023年12月には前身団体から継続して運営している妊娠葛藤相談窓口『にんしんSOS東京』は9年目、居場所を持たない妊婦のための居場所『ぴさら』は4年目に入りました。
「ないなら作ろう」
そうやって始めたこれらの活動と並行し、政策立案の現場である国への働きかけも継続的に行ってきた結果、新しい法律や制度も生まれています。その結果、だんだんと同様の取り組みが様々な担い手によって全国に広がり、他団体と定期的な勉強会や学会発表などネットワーキングも始まっています。
おそらく数年後には『にんしんSOS東京』や『ぴさら』のような取り組みは「どこに住んでいても当たり前にある」ものとなっていくでしょう。
しかし、そんな「当たり前」が叶ったとしても「にんしんをきっかけに誰もが孤立することなく自由に幸せに生きることができる社会」の実現のためにはまだまだ必要なことがあります。
それは社会のまなざしの変容です。
誰にも気づかれることなく、一人きりで出産し、新生児遺棄に至った方に対し「自己責任」を問う冷たい空気は支援の現場でも感じます。
「もう死ぬしかない、助けて」という小さな声に「どうしたの?」と声をかけ、「大丈夫」と言えるにはどうしたらいいのか。
5周年の節目を迎え、これからのピッコラーレは今までより一層、地域や社会の様々な場所でみなさんと性と生殖に関する健康と権利(SRHR)※について対話することが大切なのではないか、そう考え始めています。
私たち一人ひとりが、性や妊娠出産のあらゆる場面で権利の主体であること。
そして手にすることができる選択の幅に不公平さがなく、選択の内容によって社会からスティグマや差別をされないこと。
性と生殖に関する健康と権利(SRHR)は、人が人である限り保障されるべき絶対的権利であり、人権です。
「自分の体のことは自分で決めていい」とはどういうことなのか、みなさんと共に考え、社会のまなざしを優しいものに変えていきたいと思っています。
※ 性と生殖に関する健康と権利(SRHR: Sexual and Reproductive Health and Rights)
具体的には、性と生殖について、私たち一人ひとりが適切な知識と自己決定権を持ち、自分の意思で必要なヘルスケアを受けることができ、みずからの尊厳と健康を守れることです。 JOICEF:https://www.joicfp.or.jp/jpn/know/about_srhr/what_is_srhr/ より
上は、「ぴさら」の卒業生が5周年を記念しスタッフと一緒に考えデザインしてくれたロゴです。
「ピッコラーレ」を支えるのは2匹の小さなダンゴウオ。
「一生懸命支えているんだけど、2匹のダンゴウオだけじゃ大変だから!」
「いろんな人に参加してもらおう!」そんな話をしながら作成してくれたそうです。
このロゴを見るたびに、みなさんがダンゴウオの仲間でいてくださったからこそ活動を継続できたのだなぁと嬉しく励まされています。
ありがとうございます。
誰からもその選択を否定されず、「生きていていいのだ」そう思える社会を、
いつも私たちと共に在ってくださる皆さんと一緒に。
心からの感謝を込めて。