**イベントレポート**
相談事例から日々学ぶ私たちがつくる研修事業
〜2019年度第2回研修を終えて〜

ピッコラーレでは、昨年度より、日々の相談支援業務を一緒に担っていただける方に向けての研修を拡大し、それぞれの現場や今後の事業に活かしていただけるよう広く募集して開催しています。名付けて「思いがけない妊娠相談事例から学ぶセミナー 〜きくこと、よりそうこと、つたえること〜」。

ちょっぴり長いこの研修事業名には、私たちの思いが込められています。一般的な妊娠葛藤の概念や問題を学ぶのではなく、設立以来、毎日の相談者さんとのやりとりの中で感じ、学んできた、どういうふうに聞くことが必要なのか、どう寄り添えばよいのか、どういうふうに伝えたらいいのか、そこに根ざし、相談のかたわらで、一から作ってきたプログラムです。

A、Bそれぞれ2日間をかけ、4日間で5つの講義と、6つのグループワークに参加していただきます。支援者として活動していらっしゃる方やこれから活動しようという方に向けたA研修が終わると、さらに実践的な内容となるB研修を受講できます。それぞれ受講後には修了証をお渡ししています。(すべてのプログラムを受講した上で、ピッコラーレ相談支援員に応募いただきます)

今回の参加者は、研修Aに25名、研修Bに18名、東京都在住者が多く11名、 千葉、神奈川、埼玉を加えた首都圏が計18名と多かったです。その他、北海道から職場研修として参加してくださった方が3名いらした他、新潟、福島、宮城、兵庫など遠方からも参加してくださいました。

参加者の職業では、毎回多いのが助産師で、今回も12名の方が助産師。他、保健師、看護師と医療職が大部分を占めています。多くの方が、これから相談支援事業に携わりたいと考えていらっしゃる方々で、とくにピッコラーレの仲間に、という希望者も多く、私たちも大いに励まされながら取組みました。

研修を受けた方のアンケートから抜粋してみました。A、Bそれぞれ満足度が高く、とくに相談支援の内容を盛り込んだ講義やグループワークについて評価した感想が多かったように思います。

【研修A】

「”自分の気持ちをみつめよう!” では、ホントに十人十色、いろいろな考え方があるんだと再認識したり、自分の考え方、感じ方にはこれまでの自分の生き方が大きく関わっている事を改めて思った」「まずは相談者さんに寄り添って、ピッコラーレさんとしての共通の意識で相談に携わる事の難しさと大事さを感じた」「妊娠葛藤相談が起きる背景は、自己責任論ではないことを改めて再確認できた」「事例に対して共感出来なかったり、怒りさえも感じる自分自身に気がつくことができた。相談者になるためには、もっともっと自分自身を知る必要があると自覚した」「諸外国の若年で生んで育てながら教育を受けるシステムに驚いた。貧困の問題を考えると、日本でも同様のシステムが導入されると良いと思った」

 

【研修B】

「中絶や出産それぞれの選択肢に合わせて、使える制度などが具体的に紹介されており、相談事例に合わせた活用方法も合わせてわかりやすく勉強になった」「模擬実践してみて気づくこと、感じることが多かった」「相談してきてくれないことには何も始まらないので、まずは、”また相談したいと思ってもらえる”と、いう意識は最重要だと感じた。そして言葉の端々に、相談者さんに寄り添うという気持ちが感じられて感動した」「メールや電話のロールプレイングは、実際に当事者として考える事の難しさが理解でき、有意義でした」「福祉的な視点や法律を知ったり、医療については確認にもなり内容が充実していた」

研修には、ピッコラーレの現相談支援員も参加して、グループワークのファシリテーターを務めますが、講師も相談員も、あらためて学ぶことが必ずある、と言います。それはグループワークを通して、参加者の皆さんから学ぶことであったり、日々の相談の中で知らず知らずに形作られていた自分自身の価値観や偏見にあらためて気づくことでもあったりするのだと。とりわけ今回の研修は、相談員への応募希望者が多かったこともあり、終了後の懇親会にも多くの受講者が参加され、とても濃い時間を過ごすことができました。

そうした研修を通しての気づきが日々の相談支援に活かされ、また次の研修の内容に活かされていきます。毎回更新しながら作っている、生きた研修プログラムだと感じます。今も、次年度に向けての準備に取組んでいますが、よりいっそう現場に応えうる学びにすべく内容や時間を吟味しています。

ぜひこの貴重な研修をもっと多くの方に受講いただければと思います。それぞれの職業や経歴を活かしながら、妊娠葛藤相談に携わるにあたって、必須な内容になっていると自負しています。また、職場研修の場として活用していただいても、きっと充実した時間をお過ごしいただけると思います。

今この瞬間も思い悩み、家にいられずさまよっている当事者たちが、気軽に相談できる相談窓口のために……あなたの参加をお待ちしています。

※ 11月30日(土)、12月1日(日)に研修Aを、2020年1月19日(日)、1月26日(日)に研修Bを行いました。


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